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Mr.FULLSWING
今朝、猿野から電話が掛かってきた。


「風邪をひいたから見舞いに来い」という短い内容。
詳しいことは何一つ告げられなかった電話に、犬飼は気が気でなかった。


インターホンを鳴らす。

なかなか出てこないのが余計に不安をつのらせた。
何度か鳴らし続ける。


「そんなに呼ばなくたって分かるっつうの。全く、これだからバカ犬は…」


不満たらたらの猿野は、インターホン連打の直後に現れた。
だるそうに立ち、パジャマ姿。顔は熱のためか頬が赤く、少し汗が滲んでいるのが見える。

「お前、見舞いに来いとか言う割には元気そうじゃねぇか」

確かに猿野は少しだるそうなこと以外は酷いことがないように見えた。犬飼は何か思ったように唇の端を上げて言う。
それを見た猿野は、少しだけ表情を固くして…少しだけ悲しそうに顔を歪めて、言った。

「うるせぇ」


たった一言。
あまり心配されすぎたとしても、きっと自分がみっともなく思えてしまっただろう。でもそれでも、少しだけ、期待してた。不意に、足がふらついた。
「…冗談だよ。猿野、だいじょ…うわっ」
犬飼の弁明の言葉は、倒れこんできた猿野によって遮られた。
「…あ」
猿野は今の状況が理解出来ないようで、目をぱちくり。犬飼は、倒れかかってきた猿野を受け止めた後、緊張の糸が切れたようにため息をついた。

「ここまで酷いならもっと早く電話しろ。馬鹿」
「そんなに酷くねぇ!!だから離せっつうの、ば…」
「これのどこが酷くないんだよ、てめぇ人間としてオカシイんじゃねぇのか!?」

台詞はいつもと同じだが口調はいつもの自信満々の声ではない。震えている。怒りではない。
ただ


「心配させてんじゃねぇよ」


犬飼はそのまま猿野の頭を抱き寄せ、ばーか、と呟いた。猿野は、犬飼の胸に顔をうずめて、ごめん、と小さく謝った。

顔を上げた猿野は、さっきよりもずっと頬を赤くして。それが可愛くて。愛しくて。ぎゅっ、と抱き締めた。それだけじゃ足りなくて、ちゅっ、と小さくキスを落とす。額とか首筋とか、唇が触れたすべての部分から、猿野の熱が伝わってきて…

「犬飼、何かお前も熱くねぇ?」
「うるせぇ!!」

君の熱が伝わって
俺までが熱くなって

「お前の熱が伝染ったんだよ!!」

俺を熱くするのは
            いつも君の熱





アトガキ☆

短いーですねι一生懸命長くしよ、長くしよーと頑張ってました。しかも何故にイキナリ風邪ネタ!?って感じで、ツッコミどころ満載ですみません((>∧<;)