Mr.FULLSWING
□□□携帯電話
携帯電話なんてなければ良いのに。
休日の昼下がり。
日溜まりの中、寝転がる。
何も無い床の上。
無気力。
至って健康体だが、気だるげな時もある。
何もする気にならない。
ただぼーっとしていたい。
…ぼーっとしていた。
いつの間にか、高く登っていた太陽が沈んできた。
オレンジ色の光。
眩しい。
微睡んでいたのから覚めて、寒さを感じる。
今まで熱を運んできた太陽が沈んでしまった。
寒い。
かといって布団をかける程でもなく。
ただ、微温く、熱が欲しい。
人肌が欲しい。
携帯を開ける。
メールを新規作成。
「今何してる?」
それだけ打って送信。
別に、何でもないメール。
件名も打たない。
君へ。
…一連の動作、無意識。
何で君なのかとか、何でメール打ったのかとか、自分でも分からない。
無意識に、君へ。
人肌が欲しくて、誰かに会いたくて。
でも誰でも良くて、君である必要も無くて。
ぴーんぽーん
玄関のチャイムの音。
とにかく気だるくて、無気力すぎてしょうがなくて、返事をしないでいると、
がちゃり
ドアを開けて、部屋に入ってきた。
鍵はかけてなかった。
どたどた、大きい音を立てて。
どうやら走っているようだ。
どたどた、音が近づいてきた。
俺のいるリビング。
「猿、大丈夫かっ!?」
第一声。
馬鹿かと思った。
「…ん、はぁ?何言ってんのおま…」
言葉を遮られた。
気付いたら、抱き締められてた。
俺の背中に回ってる手、ごつごつした、褐色。
「何があった?」
「え?」
「いきなりメールなんかしてきやがって」
そう言って、
犬飼冥は、
もっと強く抱き締めて、
「心配させんな」
俺の存在を確かめるかのように。
一日中窓辺で、夕陽を浴びて、何だか周囲に溶け込んで、消えてでもしまいそうな俺の存在を、確認させるように。
強く、きつく、抱き締めた。
最近の俺は堕落しすぎだ。
毎日部活が終われば、家で寝転がるだけ。
だらだらと。
ごろごろごろごろ。
堕落三昧。
そして欲しい時に、欲しい言葉を持った、欲しい手をくれる君に会える。
携帯電話。
いつでもどこでも繋がれる。
携帯電話なんかなければ良いのに。
携帯電話がなかったら、こんな、取り留めない不安を感じなくて済むのに。
携帯電話さえなかったら、ただ純粋に、俺の身体に回されてる手だけを信じられたのに。
携帯電話がないのなら、
「犬飼、キスして」
俺もこんなに我が儘にならずに済んだのに。
「はいはい」
実際に、繋がっていたくて仕方ないのだ。
アトガキ☆
携帯ネタです。大好きvつか携帯電話ネタは、前々から書きたくてしょうがなかったんですがね!やっと書けた!!
なーんか、携帯を使ってると、堕落とか依存とかゆう言葉が思い浮かぶんですよねー。そんな感じが書きたかったんですが…あんま意味分かんないすね。。あちゃぁ。