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犬夜叉
□□□伝説!五股をかけた男!!

「まだかよ…おせぇんだよ二人共!!」


草の上に座りこみながら悪態をつく犬夜叉の前につむじ風が通り過ぎた。

「よォ犬っコロ」

犬夜叉の前に現れたのは、待ち人のどちらでもなく、全く予想外の鋼牙だった。


「こっ、鋼牙!?てめぇまた…何しに来やがった!」
「冷てぇなぁ…しょーがねぇ、単刀直入に言う。
お前を頂きに来た。」


……………は?

「はぁぁぁぁぁっ!?」


犬夜叉はかなり大きく吠えた。

「なっ、何言ってやがるてめぇ!」
「あのチビ狐に言われたんだよ」

チビ狐…七宝のことか。

「七宝に…?」
「かごめはお前のことが好きらしい」
「え…っん、あぁ」
犬夜叉は驚きつつも、曖昧に返事を返す。
「だから、お前が居るとかごめは俺を見ないんだそうだ」
「そんなこと、オレには関係な…」
「だから!」
弁解しようと声を上げる犬夜叉の言葉を遮るのは、拳を握って叫ぶ鋼牙。
「だからお前をかごめの中から無くさなきゃいけねぇんだよ!」
「へェ…で、オレを殺そうってか?望むところでぃ!」
「…違う、そうじゃない」
「…へ?」
「分かんねぇか?」
鋼牙はにやにやと笑いながら犬夜叉の顔をのぞきこんだ。そして、それでもまだ不思議そうな顔をしている犬夜叉の唇を奪う。
「ばっ、何すんだっ!」
みるみる赤くなってゆく犬夜叉に鋼牙はゆっくりと説明する。
「つまり、お前がこーゆーヤツ…同性愛者、だと思えばかごめもお前を諦めるだろーってコトだ」
…っ!!七宝のヤロウ、帰ったらぶっ殺してやる…っ!
「というわけで…大人しく俺のモンになりなっ!」
人差し指を突き指して高らかに宣言する鋼牙に、負けじと犬夜叉も言い返す。
「ヤなこったぁ!それに今日は先約があんだ!帰りやがれ!!」
「先約…?誰だ?」
「お前に言う義理はねぇな…」

「待たせてすみません、犬夜叉」

ちょうど犬夜叉の言葉が終わった直後、背後から声がした。
「みっ、弥勒!?」
「すみません犬夜叉、待ちましたか?」
「てめぇ何言ってやがる!オレはお前と待ち合わせなんぞした覚えは無…」
「犬夜叉、先約ってコイツのことだったのか!」
「違うわボケー!!弥勒も口からでまかせ言ってんじゃねぇー」
「おや、そうでしたかな?私はてっきりお前が誘っているのだとばっかり」
「ワケの分かんねぇこと言ってねぇで、とにかく2人とも帰ってくれ〜!!」
「馬鹿野郎、さっきっから言ってんだろ。俺はお前を頂いて行く、って」
「何を言っているのですか?犬夜叉を頂くのは私ですが?」

「そうはさせん」

鋼牙と弥勒の間に火花が散り始めたころ…タイミング良くと言うべきか悪いと言うべきか、新たな声が響いた。
「…!!せっ、殺生丸ぅっ!?」
「殺生丸…またどうしてこんなところに?」
「犬夜叉の居るところなら探さずとも分かる」
「おいおいおい、犬夜叉の兄貴さんだっけ?『そうはさせん』ってどーゆーイミだよ?」
「…そのままの意味だが?」
「ほぉ、アンタ俺にケンカ売ってんのか?」
「ケンカなら受けて立ちますよ」


「ちょーっと待てぇーいっ!!」

三つ巴の戦いが始まろうという時、犬夜叉の叫び声が妙な沈黙を破った。
「オレはかごめと桔梗を呼んだんだ!お前らを呼んだ覚えはねぇ!!」

「私たちがどうかしたの?」

驚いて振り返った犬夜叉の前にはきょとんとした顔の、良く似た美人が2人。
「桔梗!かごめ!いっ、いつの間にっ!?」
「今だ。…それにしても何の騒ぎなんだ?」
「用があんのはお前ら2人だけ、だ!他のヤロウ共は帰れぃ!!」
犬夜叉の必死の言葉にも、耳を貸すものはおらず…
「嫌だ!」
「それは無理なお願いというものでしょう」
「私が帰る必要は無いと思うが?」

…はぁ。深くため息。
「ったくお前らなぁ…」
「良いじゃない。私だって暇じゃないんだし。ぱっぱと終わらせましょうよ?」
「私も同感だ。…ところで用件は何なのだ?」
「えー、ごほん…オレは、どうやらお前ら2人に二股かけていると思われているらしいが、それは違うんだ!
かごめはかごめで大事だし、桔梗は桔梗で大切なんだ」

……………

「馬鹿かお前は!!」
「世間じゃそれを二股って言うのよ!バカっ!!」
女性2人の反発…。しかし、犬夜叉の悲劇はこのままでは済まず…
「犬夜叉ちょっと待てよ。俺たちは一体どうなるんだよ?」
「そうですよ、犬夜叉」
「一言も無しは酷いではないか?」

そんなこと言われたって…2人だけだって迷っているというのに…
う゛ー…う゛ー…う゛ー

「みんな好きだぁーーーーーっっ!!」

『こんの浮気者ぉっ!!』

精一杯頭をひねって出した答えの上に5人の恋人たちの声がのしかかる。


誰にも味方してもらえなくなった哀れな犬は、包帯でぐるぐる巻きになったという…




アトガキ☆

ワケの分からないお話ですみません。犬夜叉が五股かけることになってるのは犬夜叉がモテるのがいけないんだよね☆と変な納得をしている石榴です。お読み頂きありがとうございます。
それにしてもかごめ&桔梗連合軍は怖いですよねぇ…めちゃめちゃ強そーっっ!!だからこそこの話のサブタイトルは『犬夜叉可哀想物語』なんですよ。
とゆう感じでお目汚し致しました。