僕の手はいつも冷たくて、その手を握るたびに君は顔をしかめる。
けど、これにもちゃんと意味があって…


君の手



…寒い。
雪がちらちら降ってくるのを眺めながら、キルアは1人壁にもたれかかっていた。
…来ねぇぞ、ゴンのヤツ…
キルアは、ポケットからケータイを取り出して時刻を確認する。…5分オーバー。完全に遅刻だ。
キルアはケータイをしまってから周りを見回した。
…キルアはここでゴンと待ち合わせをしていた。元々は2人で一緒に買い物に来ていたのだが、
何か見つける度にいちいち立ち止まるキルアに腹が立ってしまったゴン。
「そんなことばっかりしてると置いてくよ?」
「だっ、だってあのお菓子の山がオレを呼んでるんだぜ!!」
「…さっきもそー言っておもちゃ屋さんの前で立ち止まったでしょ?」
「(ぎくっ)そっ、それはさー…」
「もう良い。オレ1人で行くからっ!!キルアは付いて来ないでよ!」
「あ、ちょ、ゴンそんな怒んなって…」
「怒ってなんか無いもん!!じゃぁね!」

─────。

「ありゃ怒ってたよなぁ…」
とはいえ、ゴンのことだからもうそんなこと微塵も覚えていないだろう。
もちろん、そこが良いとこなんだけどなv…いやそれにしても問題は…
「あー…寒っ」
そう言ってぶるぶると少し身体を震わせるキルアは信じられないほどの薄着で、首にはマフラーを巻いているものの、コートは着ていなかった。
加えて手袋もしていなかったおかげで、キルアの手には感覚も無く、赤くなってしまっていた。…寒いし、立ってて疲れたし、全部ゴンが早く来ないから…

「キっルアぁ〜〜っ!!」

ずっと待ちわびていた声が聞こえた。ゴンが大声をあげて、手を振りながら走ってくる。
「キルア、ごめんっ!」
「お前おせーよ」
「…ねぇキルア?手袋してないの?」
ゴンはそう言うと、ふかふかのミトンの手袋をした手をキルアの頬へ伸ばした。
「ん、あぁ…」
「なんで?寒かったでしょ?…あ、もしかして忘れたの?じゃぁオレの…」
「持ってるよ、持ってるからいい。」
「え?じゃぁなんでしないのさー」
「え゛…いや別にいーじゃねぇか」
「何言ってんの、いいわけ無いでしょ!…あ、そーだキルア、手繋いでこーよ。」
「は?…ゴン!?」
イキナリ隣へ駆け寄ってきて手を握ってくるゴン。びっくりしてゴンの方を見ると、ゴンはオレを見上げてにこっ、と笑った。
その笑顔が可愛くて、繋いだ手が温かくて…。コドモ体温…。

オレが手袋をしなかったのは温かい君の手があるから。

君の手のぬくもりを少しでもしっかり感じたかったから。


いつでも
君の手は温かい…




アトガキ☆
元ネタは学校の登下校で考えつきました。実は授業中もこんなことばっか考えてる石榴です。どうもお目汚しいたしました!!