ずっと

繋がってたい





darling







うんと

静かだった




目を開けたら
最初は真っ白で、
次々と周りの他のものが見えてきた。


ベッド、ソファ、テーブル、窓

でも全て色は無く、輪郭だけがうっすら浮かび上がっている。


色も無ければ音も無かった。


自分で発した声は、自分の耳に届く前に消えた。
もしかしたら元々声が、音になっていなかったかもしれなかった。



ただひたすらにその中で、まず一番に探していたのは
黒髪の愛する人。



いつも隣にあるちいさな身体。


大切な人



この世で一番、大事な人




また

目をぱちくりすると、じわじわと見えてきた。


良く考えるとおかしい。

今までただ白い色だっただけの空間に

突然浮かび上がる



白い肌



ベッドも、周りの風景は全部輪郭だけなのに


僕の隣で眠る君は
君だけは
カラーで
色があって

その黒い髪も、
赤みがかった頬も、

服から覗く肌色と、


赤い唇の色も



すべて鮮明で




まるで他のモノがすべて嘘で、この恋人だけが真実なのではないかと思うくらいに。




でも


そんなこと、どうでも良くて

君がいることに、ただ安心しきって






君の唇に触れて




あれ、と



やっと気が付いた





君が目を開けて
その黒い大きな目で僕を見つめる





それは分かるのに




君の身体に触れた手は


這わせた舌は




一向に
感覚を返してくれない







その刺激に反応した君も


声を上げてる筈で


なのに


なのに
なのに







聞こえないのは







君の声が聞こえないのは




君の身体に触れたのに





すり抜けでもするように感覚がないのは










「ゴン」








ずっと呼び掛けてるのに








応えてくれないのは









あぁ
もう



ワケ分かんねぇ…



















────
────。





「キールア」





そう元気良く声を掛けてきたゴンは、ベッドで眉間に皺を寄せたオレを見て、表情を変えて、心配そうな顔で覗き込んできた。



「どーしたの?キルア」



…変な夢を、悪い夢をみた



でも

ゴンには言わない





「何でもねぇよ、ゴン」






そう言ったらゴンは、もっと心配そうな顔になった。



「キルア、ホントに何でもないの?」
「うん、何でもない」



やっぱりゴンは心配すんな顔を崩さずに、でもとりあえずそこに執着することは止めたようだった。




「何でもないなら良いけど、もう最後なんだから、後悔しないようにしなきゃダメだよ?」
「ん…?最後、って、何が?」
「あ、やっぱキルア気付いてなかったんだ。今日は大晦日!今年最後の日なの!
だから後悔しないで来年を迎えられるように、やり残したことは今日のうちにやっとかなきゃね!」

もう夕方だからそんなに大それたことは出来ないけどね、とちょっと苦笑いしながら言った。



「やり残したこと…?」
「うん、何かある?オレならいつでも協力するよ?」


にっこりと笑うゴン。


「雪だるまとか、雪合戦とか?あ、そーいえば今年かまくら作ってないね!」



雪だるま?
雪合戦?
かまくら?





ううん、そーゆーんじゃなくて







一瞬








夢の光景がよぎった。







輪郭しかないベッドの上で
一人だけカラーの君




輪郭だけのベッドには、感覚があって、ぎしぎしとゆう音も立てて





カラーの君は触れられない、声も聞けない








本当は







君が虚言だったのかもしれなかった


君だけが


嘘だったのかも








触れられないだけで
存在が


見えているだけじゃ
声が聞こえるだけじゃ









不安







不安不安不安不安不安不安不安不安不安不安不安





すぐにでも
消えてなくなってしまいそうだ

―触れられないから



君がどこかへ行ってしまいそうで


―触れられないから、引き止められないから






「なぁ、ゴン」
「なぁに?キルア」



声だけじゃ
駄目





目に見えても
駄目








「やり残したこと見つけた」







ただ
君に触れたい








君の存在を
確かめたい








嘘じゃないって



君は


此処に居るんだって













「抱かして?」













「へ?」
「だから、抱かして」



そしたら
ゴンは、顔を真っ赤にして、顔を伏せてしまった。








未だ真っ赤になって、ベッドの隣で立ち尽くしてるゴンに、手を伸ばして、ぎゅっ、と抱き締める。





そのまま、確かめるように唇をそっと舐める。


「…あっ」


ほんのそれだけで声を上げるゴンに、小さく耳うちをして



「なにゴン、もう感じちゃってんの?」




なんて、
こんなからかってやれるのも、





君の存在を確認出来たから







「ん…や、違っ、キ、キルアぁ」



「そんな可愛い声出してもだーめ」



俺は口付けを、ゴンの唇から、首元に移してゆき、段々と攻めたててゆく。


「あ、ふぁ…」



感じたゴンの声は、本当に色っぽくて、それだけでも、俺も感じてて





首元からずっと下ろしてきた舌を胸に這わせ、ちゅ、っと跡をつけて吸ってやると、ゴンは喉をのけぞって喘ぐ。


「ぅ、ひゃぁ…あん」



開いている手で器用にスボンと下着を取り去るのも忘れない。




露わになったモノに手を伸ばして、軽く触れるだけで、俺の手のひらが白濁色に染まる。




「あ、ぅん…キルア、や、だぁ」







これを聞いた瞬間、

急に



不安に襲われる







君が此処に居るって


君に触れて


分かったけど



でもそれじゃぁ




それじゃぁ





俺の
俺の存在が







もしかして



夢の中で
俺が
君に触れられなかったのは




俺の存在が


嘘だったかもしれないと思えて



「は、ぁん…キル、アぁ、やめ、いやぁ」
「…だ、嫌だ、ゴン」
「ふ…ん、ぁ?キ、ルア?」
「嫌だ。拒絶しないで、否定しないで…頼むから」



君に拒絶されたら
俺の存在が全て否定されてしまうから





「…キルア?」
「頼むから、離れないで」
「ね、キルア?」
「俺のこと、否定しないで」





もう、ワケ分かんない…






「…分かったから、オレも、嫌じゃないから」
「ゴン…?」
「好きだから、ね?」
「ねー、ゴン…続きしていー?」
「ぅ、キ、キルアのバカっ!」
「嫌?嫌い?」
「ち、違うけどぉ…」
「じゃぁ、やらして?」
「…え?」















「なぁ、ゴン、あと一分で12時…
って、寝てんのかよ?ゴンー、ゴン起きろってば……あ、あーぁ、12時なっちゃった。…ま、しょうがないか。ゴン?今年もよろしくな」















アトガキ☆


新春初書き!こんなん書いちゃって良かったんでしょうかね…正月早々お目汚し致しました(泣)。こんな石榴ですが、今年もお付き合いよろしくお願い致します。
もう、進まない、進まない。だってお笑い見ながら打ってますからね!とてもシリアスな気分にはなれませんですよ…。しかも、面白すぎ。
ではでは、本当にお目汚し致しました!