温温  ぬくぬく





「んー、綺麗な空」




夜も更けた初春のベランダで、一人漆黒の闇に浮かぶ星を見上げる少年。

「おっと、いけね。そろそろ寝る時間だよね」

はっ、と気付いた黒髪少年、ゴンはそろそろとした足取りでベッドへ近づいた。



寒い。

お風呂上がり、火照った身体を冷まそうとベランダに出た。
綺麗な星空に魅せられて長居してしまったらしかった。
…逆に身体の芯まで冷え切ってしまって。

とにかく寒くて、ベッドに潜り込んだところで、人肌を知らぬ布団はいつまでたっても冷たいままだった。

ふと隣のベッドを見ると、キルアが銀髪だけを出して布団に深く潜り込んでいる。


暖かく、ゆるゆると誘う誘惑に負けて、ゴンは隣のベッドに潜り込んだ。

暖かい体温に、さっきまでどうしても下りようとしなかった瞼が緩む。
すぐに微睡む。


「んぁ…ゴン?」


突然ベッドに侵入してきたゴンを、キルアが目を擦りながら見据えた。

「…あ、キルア」


説明する間も無く腕に抱き込まれた。
強制的肘まくら。


「眠れないんだろ?」

え?

「こんな身体冷たいもんな」


…お見通し。
目を開けて見てなくたって大体のことは分かるらしかった。

…あー、なんかちょっとどきどきするかも。



「寒い?」
「うん、結構」
「じゃぁしょうがねぇなぁ」
「なにが?」
「あっためてやるよ」

ぎゅっと抱き締められて、後ろに回った手が背中を撫でる。
上下に動くたびにぞわぞわと不思議な感覚が湧き上がってきて、思わず背中を仰け反る。

「…んっ、あ」

自然と声が出た。
とにかく触られた部分がくすぐったくて、止めて欲しい、とキルアの腹の辺りに蹴りを入れた。

しぶしぶ背中から手を離してくれたかと思ったら、今度は無防備だった耳へ唇を寄せられる。
やわやわと舌を使われて、熱い吐息に、またぞわぞわと訳の分からない感覚が走った。

「あっ、ん」
「…感じてんだろ?」
「え?」


耳元で囁かれると、またぞわぞわとした感覚が走る。


感じてる。


何度言ってもなんだか言い慣れない言葉で。
でもこの感覚は、そうとしか表現出来ないみたいで。


「…くすぐったい」

と言ってみたところで、

「嘘。感じちゃってるくせに」


と言ってまた耳に唇を寄せる。



油断していると、無防備な背中に腕を回されて、
逃れようと背を向けると、今度は後ろから抱きすくめられた。
腹にやわやわ触れる手がくすぐったくてしょうがなくて。

「ゴン、お前すっげー熱い」
「やっ、あぁんっ」

キルアの恥ずかしい言葉と行為に、思わず喉を仰け反って喘ぐ。

「ゴン、気持ち良さそうだねぇ…どんな感じ?」


ちょっと腹が立った。
なんか、オレだけやられてんのは、気に入らない。

喉を仰け反らしたおかげで、目の前にはキルアの横顔。耳。


……舐めてみた。


すると意外にも、キルアの身体がぴくん、と反応を示した。

耳たぶを口に含んで舌を使う。
そのたびにオレに触れているキルアの身体が動く。
面白くなって何度も繰り返して。
耳元で囁いてもみた。


「ね、感じるでしょ?」

答えるように頷くキルアを見て、満足したオレは腕を離した。
完璧にキルアと離れる状態。

「…はぁ」

ため息をついて、また腕を回してくるキルア。
ぎゅぅ、ときつく抱きしめられた。


苦しいと言う暇もなくキスされた。



軽く、啄むみたいなキスを何回かされて。

キルアは左肘をついて、オレを覗き込む形になって、言う。


「舌入れていい?」
「は?」



なんでいきなり…

困惑する。
キルアはただ答えを待っているつもりらしく何もしてこない。
何も。


今まで間もおかずに続けたおかげで、何の刺激もない口が寂しくてしょうがなかった。
欲しい。

キルアは答えるまで何もしないつもりみたいだし、曖昧なことを言えば「冗談」とはぐらかされることを知っているから。
キルアは、オレが本気じゃない時は嫌だということはやらない。


恥ずかしくて、恥ずかしくて。
でも欲しくて。


答えは


「いいよ」


…言ってから後悔。
確かにして欲しかったけど。その気持ちは嘘じゃないけど。

覗き込んでるキルアと目が合うと、改めて恥ずかしくなって。
もう十分に熱くなっていた身体が、また熱を持ち始めた。

もう、目が開けられなかった。
恥ずかしくてキルアの顔なんか見れないし、
目を逸らそうにも、昼間までこんなことするなんて考えずに生活していた空間で、
なんだか無性に恥ずかしくて出来なかった。


「ん」


閉じた唇にさっきと同じようにキルアの唇が重なった。
それを受け入れると、ゆるゆると探るように舌が入ってきた。
そのまま口内を余すところもないように動き回る。
目を閉じたおかげで何が起きてるのか分からなくて、
侵入してきたものに恐怖感を感じて、何だか怖くなって、
思わず舌を押し返した。

キルアは突然のオレの行動にびっくりしたように口を離す。


「舌入れんなよー…」
力が抜けたようにしだれかかってきたキルアの言葉に、心の中で突っ込む。

「キルア?」
「…んー?」
「寝てる?」
「いんや」
「眠い?」
「別にぃー」
「…嘘つき」
「う、そなーんかついてねぇよー、うー、ん」


キルアは、オレにしだれかかったまま静かに寝息をたて始めた。

元々眠ってたところを起こしたから仕方ないことで。
実際オレも眠くて仕方なくて。


さっきまで熱い体温が恋しくてしょうがなかったのに、
今は微温い体温に微睡む。



微温いその体温に安心する。
熱くもなく冷たくもなく、
心地良い体温。
微温い体温。
大好きな君の体温。














アトガキ☆

以上、実話です。爆。でもマジです。
相方のお家にお泊まりした時の会話やら行動やら。あわわ。使わせてもらってすみませんでしたー。


エンタのビデオ見ながら打ってます…全然進まねぇ!!陣内好きー。って、違う!つかお正月と同じパターンで失敗してるよ、こいつ。