白い日



「キールア」


日の当たる窓際のテーブルに突っ伏してうとうとしていたキルアの背中に、がばっ、とゴンが抱きついてきた。


「なに?ゴン?」
「え、うん、あのさっ」

1ヶ月前を再現しようとして抱きついてはみたものの、この場面で自分が受けた恥ずかしい行為にどきまぎしてしまう。


「ん?なに?何なんだよー?」

何やらあたふたするゴンに、疑問の視線を投げかけた。

「ねっ、ねぇ、キルア」
「なに?」

キルアの大きな瞳にちょっとたじろぐ。


「今日が何の日か知ってる?」
「知ってるよ」


…予想外の答えだった。
知らない、と言うキルアに、今日が何の日か教えて、ちょっと得意気になるつもりだったのに。

「キルア、今日がホワイトデーだって知ってたの?」
「もちろんvプレゼントもちゃんと用意してあるぜ〜」



これまた予想外。
ここでオレからプレゼントをおねだりしようと思ってたのにー。

「あれ?でもプレゼントなんてどこにも…」
「オレ」
「え?」
「プレゼントはオ・レv」
「??それってどういうこ……んっ」

後ろにいるゴンの顎を掴んで、唇を合わせる。


「…あっ!キ、キルア!?」
「うまかった?」

にやにやと笑うキルアに、ゴンは顔を真っ赤にした。


「キルア、やめちゃったの?」


まだ顔を赤くしたまま、ゴンが上目遣いで聞いた。
かなりの必殺技。
思わずたじろぐキルア。

「や、やめたって…?」
「オレにくれるクッキー」

びくっ、と身体を震わすキルア。


「な、なんのことかなー?あははー」
「…ふーん、キルア隠す気だね?」
「っ!な、何を?」

形勢逆転。
なんとか誤魔化そうとするキルアに、ゴンは得意そうに笑って言った。


「オレ知ってるんだからね!昨日の夜、キッチンでクッキー焼いてたの!!」
「…見てたの?」