きみはいつでもけらけらと笑う
楽しそうに、幸せそうに
そしてその姿はまぶしくて


まっくらな道も
きみといっしょなら歩けるきがした



きらきら



「キールア」

振り返ってオレを呼ぶ、可愛いすがた

休日デートの真っ最中
可愛いあの子の提案で、ショッピングにきていた

周りにはまぶしいばかりの色とりどりの装飾
赤と緑のクリスマスカラー

そう、今日はクリスマス、しかもにじゅうごにち
イヴじゃなく当日

だのに
そんなことも忘れた阿呆がいる

―――ゴンだ



「キルアー、これ買おうよ、これ!」


喜々とした顔で指差すのは、ショウウィンドウの向こう側、1メートルくらいのクリスマスツリーだった


「ばーか」


いつもの調子、呆れた顔でつぶやく
なんでー、と不満そうな声を出すゴンにまたまた呆れながら、もう一度ためいきをつく


大体クリスマスツリーってのは、クリスマスも1ヶ月前くらいから飾り付け、クリスマス当日、翌日に片付けるくらいなもんだ
それをこいつは…今からツリー飾ったって、明日には片付けちまうんだろ!
全く、全然考えてねぇなこいつ


「ね、なんでだめなのさ!」
「だめ、ってわけじゃねぇけど」
「じゃぁ良いじゃん、来年だって、再来年だって使えるよ?」

来年だって再来年だって

その言葉が、オレの心を動かした
動揺した
なんだか、その言葉だけで、来年も再来年もゴンと一緒にいられるように感じた

何の根拠もないけど、
何の理由もないけど


「ね、良いでしょ?」


いきなりの上目遣いとズームアップに、思わずオレは頷いていた





「ツリー、ツリー♪」

帰って来るなり大はしゃぎのゴンは、早速組み立てに取り掛かった


「なー、それより飯…」
「ご飯は後!」


俺の必死な願いにもかかわらず、ゴンは新しいおもちゃを買い与えられたこどものように、クリスマスツリーを組み立て始めた


まず切り株みたいな木の幹に葉っぱがついた上の部分をドッキング
そしたらあとはもう付属の飾りをつけていくだけだ

単純、といえばただそれだけの作業なのだが、ゴンは変に凝り性なのが困り者で
適当に終わらせれば良いものの、入ってた飾りは全部使おうとするし、
(大体こういうのは多く入ってるもんなんだっつうの)
良く分かりもしないくせに全体のバランスを眺めてみたり
とにかく、終わりゃあしない


「ゴンー、飯にしようぜー」

最後にオレも手伝うからー、とつけて呼ぶが全く終わらせようとしない
なんだよ、いつもはオレが手伝わないと怒るくせに


「そこの飾りとってー」


…くそ
もー、頭きた

コノヤロウ、人の言葉に耳傾けない上にその手伝いしろってか!
腹の立ったオレは、ゴンに言われた飾りを、思いっきり投げてやった


「いった、何するんだよキルア!」
「お前が悪いんだろ、馬鹿ゴン」
「む。…キルア、ライトとって。ついでにストーブつけてきて」
「…はいはい。よろこんで」


いつも通り、くだらないことで喧嘩
くだらないって、分かってるけど、腹が立つものは腹立つし!!


「ほらよ」
「いたぁっ」


顔を見るとまた口喧嘩が始まりそうだったから、ライトは後ろ向きで投げつけてやる
どうやら、うまいこと命中したらしい
それにちょっと気分をよくして、部屋の隅っこのファンヒーターの電源を入れた


  あ


「ひゃぁぁぁ!!」



いきなり、目の前が真っ暗になった

「て、停電…?」

窓の外が明るいことから、ブレーカーが落ちたらしい

「ゴン!!」


言ってから思わず口をおさえた
喧嘩してても
どんなに腹を立てていても
いちばんに考えるのはゴンのことなんだなぁ、とか
ちょっと恥ずかしくなった


「キ、キルアー!!」
「ゴン!?」


…て、のんびりしてる場合じゃなくて
ゴンが半泣きな声で叫んだ
いそいで振り返ると



   うわ



「ゴン!!」


思わず叫んでしまった


オレの投げたライトを頭からかぶったのだろう
それを取ろうと暗闇のなかで暴れたせいで、ゴンの身体中にライトが巻き付いていて


それが綺麗で
赤と緑のライトが点滅する

きらきらと
まぶしくて



ゴンはいつも
きらきらしている

いつも元気で
太陽の下ではその光をうけて
負けないくらいにまぶしくて


オレの心の暗闇を
照らしてくれる光だから


きみはきらきらまぶしくて




赤と緑に光るきみを
駆け寄ってぎゅ、と抱き締めた


「キルア…?」
「いっしょに、ブレーカー上げにいこう」


ライトを外してあげながら言う



きみは
きらきら綺麗だから
きみから目が離せなくて、離れたくもなくて
ぎゅ、と手を握って



きみはきらきらまぶしくて
そして







とっても
あたたかかった









クリスマスツリーはキルゴンに使うしかない!!と思いながら書きました
  そして、寝落ちのためクリスマスイヴに間に合わず
  撃 沈 ! !(阿呆)
  布団から顔だけ出して打ってますが
  びっくりなことに
  息 が 白 い ん で す け ど ! ?
  もう嫌です…くそ、雪が止めど無く降ってるせいかこのやろう!

  誰かざくろに愛の手を!!(切実
  あなたの愛があれば生きてゆけます(ばたり