僕の日常は
君と一緒に居ることで

君の居る風景は
いつも見慣れた
当たり前の風景で



君と僕の日常。




ちゅん、ちゅん

開け放たれた窓。そこから入ってくる眩しい日光。

ちゅん、ちゅん、ちゅん
…うるさい。

鳥のさえずる声に顔をしかめて。

ちゅん、ちゅん、ちゅん
…だから

「…うるさい」

眉間にしわを寄せて、思いっきり不機嫌なキルアが、ベッドからゆっくり起き上がる。
「うるさい。つかなんでこんなとこに鳥が…」
ベッドの上に乗ってきていた小鳥を手で軽く追いやる。
そこで
ふと気付く

…ゴンが居ない…

さっきまでキルアが寝ていた隣には、抜け殻になった毛布。
キルアはいつも起きるのが遅いため、ゴンはキルアが起きるころベッドに居ないことがほとんど。今居ないのもおかしいわけではないのだが…。

何故か
言いようのない不安に襲われる

隣に君が居ないから
目の前に君が居ないだけで

不安になる

君が、突然消えてしまうような
理由もない不安

心臓の音が速くなって、聴覚がそれに支配されてゆく

どくん、どくん、どくん

ものすごいスピードで階段をかけおりる。
じっとしていられなかった。立ち止まったら、不安に押しつぶされてしまう。

ばたん

キッチンのドアを開ける。
───────いない

朝食を作った形跡もない。
足が、がたがた震え出した。それでも、じっとしているわけにはいかない。
───不安に負けて動けなくなってしまうから…

次々と部屋のドアを開けてゆく。

いない、いない、いない…

乱暴に開けすぎてドアが壊れたかもしれなかった。
──いや、そんなの構うもんか
焦りすぎて、滑って、何度も転んで、身体中が痛かった。
──でも、そんなのどうだって良い

すべては

君が居ればそれでいいから…


気が付いたら寝室に戻ってきていた。

どこを探しても、いくら呼んでも
どこにもいない、返事もない

しばらくおさまっていた足が、またがたがたと震え出して、ドアに寄りかかっていた身体がずるずるすべり落ちる。力なく尻餅をついた。

沈黙

それと共に、今まで聞こえなかった音が聞こえてきた。
キルアはその音に気付くと、慌ててベッドへ近づいてゆく。
そして耳をすませる。

聞こえるのは可愛い寝息…

はぁ、と息をついたキルアがベッドの下を覗きこむと、そこには幸せそうに眠るゴンがいて

「ばーか」

キルアがそっと呟いて、ひょい、と抱き上げてベッドの上に寝かせてやる。

そして

キルアは笑う。心の底から。

ゴンはこんなに近くに居たのに、無駄に焦って探した自分を。

そして


愛する君が傍に居る幸福を。



end



アトガキ☆
はい、授業中いかに石榴がサボっていたか、と(殴)。お読み下さいましてありがとうございましたvv