輝く御空<ミソラ>に僕の声。 ‖恋愛メランコリック‖ 帰り道は何時も独り。 馴れた道なり。たとえ目を瞑っても歩けるだろう。 初夏の空は高く、高く。 本当は、蒼色冬空の方が好きなのだけれども。 「石田ァ!」 最近、良く聞くようになった其の声に、耳を塞ぎたくなる思いで振り返る。 嗚呼、どうか、彼では御座いませんように。 髪を撫でる青嵐に祷れば。 「…」 「聞こえてんなら返事ぐれぇしやがれ」 「出来れば逢いたく無かったな」 「それが返事に成ってるとでも思ってんのか?」 噛み付くように会話。 其れが、随分前から日常に成ってしまって居るのは少しばかり問題が或る。 そんな会話が、愉しいと、云う自分が何処かに居る訳であり。 隠すように、秘めるように眼鏡のブリッジを中指で押し上げた。 「で、何か用かい?」 無ければ僕は行くけど、と加えて。 「寂しい人間だな」 「大きな御世話だ」 愉快と笑う彼に。 不機嫌な僕。 其処でふと、彼の後ろに黒い影が無いのに気付く。 「朽木さんは?」 僕は彼と話すより彼女と話した方が随分愉しめる。 其れは恋とか、愛とかではけして無く。 知的な会話がしたいのだ。 低能な彼と話したとて。 愉しくなんか、ない。 「なんだ、あいつが好きなのか」 嗚呼!如何して、男女間の友情は恋愛に変わらねば成らないのか。 違う。 そう、声を張り上げかけたとき。 「俺、狙ってたのになぁ」 かなり。そう加えて小石を蹴り上げた。 寂しげで悔しげな様子に僕は柄にも無く動揺。 「な、なんだ、君と朽木さんなら釣り合うと思うけど…」 二人の恋仲説も浮上しては沈む事無く。良い話の種になっている。 「なんだ、好きなわけじゃねぇのか」 「当たり前だろっ!」 「じゃあ、良かった」 「あーあー、どうぞ。朽木さんと仲良くしてくれ」 付き合ったら良いんじゃないか?そう加えて皮肉る僕にまた、奴は難しい顔になる。 眉間の皺を更に深めて。 「なんか、勘違いしてるだろ」 「だって、朽木さんを狙ってるって…」 「バァカ」 進み出る彼に僕は身構えるも、予想していた一撃は無く。 代わりにくしゃりと頭を捕まれた。 僕はおそるおそる頭一つ分高い位置のダークブラウンの瞳を盗み見る。 「あいつの事じゃねぇ。もう一人の方だ」 「は?」 「だから」 いきなり髪を掻き回され、烏の濡れ羽色の其れはぐしゃぐしゃになった。 「うわっ」 「あいつじゃなくて、お前だよ」 乱れた髪を其の儘に、彼の大きな手は離れた。 其処には訳も分からず立ちすくむ僕が残る訳で。 「え…」 「分かんねぇ奴だな」 次に出た彼の言葉に、僕は暫らく赤い頬を隠せずにいた。 終焉 050731//一周年お目出度う、親愛なる猫女女史へ。 アレだね、早いね。もう一年だね。 折角なのにいちうりゅでごめ…。うりゅとイヅルは仲良さげ派。 猫女女史のこれからの繁栄をねがって…。 螺旋蝶々//ときいち …携帯サイトの一周年記念として貰い受けました。 一周年返し!同じ時期に開設したので、一周年文交換とかしました。